アベノミクスで広がった格差 大企業の内部留保増え、下請けに恩恵及ばず

経済まとめ
20211024


naiyou

 大小さまざまな工場が立ち並ぶ京都府久御山町野村地区。電子部品の検査や組み立てを手掛けるコニシセイコーは、パートや派遣従業員を含む約100人でスマートフォンなどの製造工程の一翼を担う。

仕事の大半は、大手メーカーからの下請け業務だ。人材育成や自社製品の開発など努力はしているが、小西由佳子取締役(44)は「経営状況は決して良くなっていない」とつぶやく。

 業績は横ばいだが、最低賃金の引き上げで人件費は膨らむ。近年は人手不足も深刻化している。「賃金を上げなければ人材は逃げるとわかっているが、半年先の経営状況も読めず、判断が難しい」と明かす。

■株価上昇も、好循環生まれず
 衆院選直前に退陣した菅義偉前首相は、在任期間が歴代最長となった安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」を継承した。
「第1の矢」の金融緩和は、日銀との共同歩調で為替の円安を招き、株価を一気に押し上げた。日銀が大量に国債や上場投資信託(ETF)を買い入れることで、第2次安倍政権が発足した2012年末に1万円余りだった日経平均株価は2万円台を回復し、菅政権下の今年2月には一時3万円を突破した。

 それでも多くの企業は身構えたままだった。金融緩和で市場にあふれたマネーが設備投資や人件費に回る好循環は生まれなかった。このため、日銀の思惑通りに物価は上がらず、日本経済が完全にデフレから脱却するには至らなかった。

■富裕層ばかり潤い、低下し続ける実質賃金
 一方、12年度に304兆円だった企業の内部留保(利益剰余金)は20年度に484兆円まで膨らんだ。京都でも任天堂(京都市南区)が連結で1兆4140億円から1兆9933億円に、村田製作所(長岡京市)が同じく7644億円から1兆7866億円にそれぞれ積み増している。
大企業が巨額の利益を計上し、富裕層が株高で潤っても、下請け企業や低所得者層には恩恵がほとんど及ばなかった。物価の影響を加味した実質賃金は低下を続ける。安倍元首相が掲げた「トリクルダウン」(富があふれ落ちること)の成長は幻に終わった。

 企業規模でも格差がみられる。12年度と20年度の経常利益を比較すると、資本金10億円以上の企業が43%伸びたのに対し、同1億円未満の企業は4%増にとどまった。
金融緩和には「副作用」も指摘される。長引く低金利政策で金融機関の収益は悪化し、日銀が国債の5割近くを保有する状況も「市場の価格形成をゆがめている」と批判を集める。

 今後の焦点は緩和縮小など「出口戦略」だが、皮肉にも金融緩和による歴史的な低金利下でなかなか伸びなかった企業の資金需要が、新型コロナウイルス禍で急増した。京滋の金融機関関係者は「金融市場が正常化し、金利が上がればわれわれの利ざやは拡大するが、取引先の負担も増す」と複雑な心境を明かす。

ニュースソース:
https://news.yahoo.co.jp/articles/2769af482024ffcf459fc9f87619d583e7453f64


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Source: Investment News
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