世界全体で政府債務が国内総生産(GDP)に匹敵する規模まで膨張する予測自体は意外感はない。驚きだったのは、新型コロナウイルスへの対応を巡り「積極的に財政政策を活用すべき」としたうえで「低金利の恩恵で高水準の債務残高は当面はリスクにならない」と明言したことだ。15日にはゲオルギエバ専務理事が「企業や家計への支援を拙速に遮断するべきではないというのが我々の大きなメッセージだ」と踏み込んだ。
IMFは従来、経済・金融危機の後始末について、各国に「早急な緊縮が必要」と迫るのが常だった。「最強の番人」のお墨付きは、世界経済に事実上、MMT(現代貨幣理論)が適用されつつあるという見立てに説得力を与える。
自国通貨建ての国債は債務不履行のリスクはなく、インフレが脅威になるまでは財政支出を拡大できるし、そうするべきだ――。これがMMTの主張のひとつだ。懐疑論をよそに、中央銀行とタッグを組んで巨額の財政支出を賄う姿はMMTの壮大な社会実験の様相を呈している。
コロナ禍が招き寄せた「強制MMT」。その余波は当然、金融・資本市場にも及ぶ。真っ先に大波をかぶるのは債券市場だ。
米国では長期金利の指標の10年物国債利回りが4月以降、0.7%前後の狭いレンジにほぼ押し込められ、月末値ベースの金利変動幅は平均0.06%程度と「コロナ前」の3分の1程度に縮小した。すでに長期金利を操作するイールドカーブ・コントロール(YCC)を導入済みの日本でも、金利変動が一段と乏しくなっている。
米連邦準備理事会(FRB)の要人からは「市場からデュレーションを取り去ることも可能だ」との発言も漏れてくる。債券の期間が長いほどさまざまなリスクを織り込んで利回りが高くなるのが市場の力学。これを封殺する発想は、やはりMMTに近い。MMTの旗手、ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授は近著「財政赤字の神話」で「(国債の)金利は常に政策判断で決まる」と言い切っている。
市場からダイナミズムを奪えば、金利動向から物価や景気の先行きや財政リスクを読み取るのは困難になる。長年、債券市場をウオッチしてきた岡三証券の高田創氏は「日本国債が『生体反応』を失って久しい。クレジット市場もその後を追うだろう」と話す。
「企業の分析なんて、やるだけ無駄。クレジット投資は『安くなったら黙って買いましょう』ぐらいしか言うことはない」。あるベテラン市場関係者はあきらめ顔だ。「証券化商品も低格付け債もバブルの域に入っているが、コロナ対応の疑似MMTと金融社会主義的な政策で、今の構図はそうそう崩れそうもない」と嘆く。実際、国内社債のスプレッド(上乗せ金利)は「コロナ前」の水準を回復。海外の低格付け債もデフォルト率の上昇に逆行するようにスプレッドが縮小傾向にある。
国債からクレジットへ「強制MMT」の波が広がり、金融市場の「見えざる手」の力は衰える。クレジット市場は、08年の金融危機を含め、過去には異変をいち早く告げる「炭鉱のカナリア」として機能してきた。そのシグナルが弱まれば、危機の火種を探知するのは難しくなる。
債券ほど官製相場のグリップはきつくないが、カネ余り主導で進む株高にも同様の危うさが漂う。米著名投資家のハワード・マークス氏は「政策効果が支配的になりすぎて、『良い企業かどうか』という問いがかき消されてしまっている」と警鐘を鳴らしている。
今の苦境を乗り切るにはMMTに近い政策しか選択肢はない。その影が「見えざる手」が覆えば、資源配分とマネーの流れがゆがみ、成長の鈍化や局所的なバブルを招く懸念が強まる。コロナは市場経済の心臓部にとっても深刻な脅威になりつつある。
2020/10/19 13:45 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65106390W0A011C2000000/
発火点まではうまくいったと言ってられる
MMTって実際、金融社会主義でしょ
んで、社会主義の前提条件ってのは労働価値がゼロ近傍にまで下落する世界
よーするに金持ちが自動的に上級国民化して
中世よろしく権力権威の横暴打破の革命の火種になるのはまぁ当然の話
本来風船のように収縮する肺がテニスボールのようになって息苦しさが続く
最悪なのは一度繊維化した肺はコロナが治った後ももう回復しないこと
自分がかかったり赤の他人に伝染すだけならともかく甘く見て出歩いてコロナ感染して
家族や恋人や友人に伝染して死なせたり一生残る後遺症を与えてしまったら耐えられないよ
いまなお、おつむは金本位制のまま、マネーを概念ではなく、物と認識していて、相変わらずの状態。
インフレ率だけを見る、たった一つのシンプルな指標でよいとできないのは、なんで? やっぱ、既得権?
金の保有量の代わりに国家の信用と軍事力(デフォルトした国を武力制圧するため)が担保になったんだよ
MMTというのは国家の信用を落とす行為なので発火点に届くと革命が起きてしまう
お金=限りある資源、っていう錯覚をしている人間が多いと
その錯覚を利用して人間を支配できるからね
日本のデフレにたかった有象無象もそれを理解してうまいこと利用している
竹中某みたいな人間をみて常々「なんでこいつはこんなことするんだ??」って疑問だったが
あれは単に人間を支配しているっていう幻想を味わうゲームをやりたいんだろう
貨幣も幻想なら支配も幻想
本物は何かってことになるな
電力本位制,あるいは,エネルギ本位制のような状況になる。
それは分かりやすいな。今の通貨制度はノイズで乱高下してるからなぁ。
下層に金を渡さないから、金が回らずデフレってる
財務省が歳入庁に反対し続けてるからね
歳入庁があれば低所得者の炙り出しに第三者を使う必要ないのに
マイナンバーと連動すれば、もっと簡単
楽観的で株価24000円も行きそうだけど
信用収縮の問題は永遠に先送りできるということでもある
全世界の政府・企業・家計の債務残高の総計が増えること=債権及び各種純資産の残高も増=経済成長
ではなかろうかの?
無論、資産額のバブった部分が恐慌要因となる訳で Invisible Hand() の起動条件が当に不可視だから日経もこういう歯切れ悪い記事流す訳で…
最近日本では話題にならないトマピケティは確か「戦争や災厄に伴う富の再分配」とか説いてた記憶がある。
食料品とかの値上げくるやろ
現状のMMT理論は理論上はそうでも実施の面では不安が多い
だから金の流れを正確に把握して何かあったら対応できる体制が必要
現状を説明したのがMMTで財政政策なんてもんは大昔からあります。
まあ、エジプトでピラミッド作ったのも財政政策といえば財政政策だし。
ケインジアンなら、今さら同じ事言ってるだけだろってなるよな。
など散々言ってたが今はどうだ?当時以上の円安、低金利、デフレだろ
これを説明した財政均衡支持者は一人もいない
おそらく先進国がある一定の文明水準をブレイクスルーしたことで、
パニックインフレが起こらなくなったんだと思う。
文明の進歩がハイパーインフレの脅威を知らぬ間に解決していたのだろうな。
MMTは過度なインフレに注意して需要を喚起することができる
インフレてのは貨幣の価値下落つまり物質、供給力労働力不足だから
労働力の価値上昇
衣食住に生活家電、生活インフラ、ある程度の先進国には行き渡ったんだよ。
それによってモノの価値がマネーの価値を極端に上回る現象が発生しなくなった。
それ違うと思うよ
先進国でこの20年実質GDPの伸び率1%そこそこなのは日本だけ
軽自動車が売れまくってウサギ小屋に住んでて官民のICT化も出遅れてるじゃん
MMTの主唱者たちは、金融政策には効果がないか限定的としている
それは正しい認識だろうな。
金融政策をやっても金融市場でお金がグルグル回るだけで、
まあようするにトリクルダウンなんて起こらない。
上場企業のパニック倒産を防ぐ程度の効果しか望めない。
>金融政策をやっても金融市場でお金がグルグル回るだけ
それはレーガン政権時代に結果が出ている
緩和マネーがおもに株式市場に吸収されて
製造業種での設備投資や間接金融が落ち込むという副作用も出て
生産部門の海外移転が生じる始末
こういう産業空洞化が進んだ状況で
大規模公共事業による一時的に雇用増加が進んだとしても
その際の国内消費が国内生産でまかなわれないのなら
所得増→消費増→設備投資増といった好循環にはつながらず
消費分が貿易支出に回ってGDPを押し下げる結果になる
ケインズ型の公共事業による景気の梃入れは
国内消費が国内生産によって賄われる閉鎖経済によって
もっとも効果を発揮する
つまり国際分業制の進んだグローバル環境下では効果が減殺される
グーグルアースで見れば一目瞭然だけど日本列島なんて山ばっかりで
人間が住む場所なんてほとんどない。
山を削って海を埋め立てればいいんだが、大抵の山は活断層なので食べられる部分は少ない。
1000兆の国債残高あっても2%すらインフレ目標達成出来ないんだからもう1000兆ばらまいて漸くマイルドインフレになるって試算もあるらしいじゃん
それくらい円が行き渡ってないし搾取しれてきたことの証左じゃないの?現状は
国家主導のインフレ始まってるよ。
結構危うい
そんな激しいことやらなくても
財政ファイナンスでいいっちゅーの
Source: XM Trading 評判・口コミ ? FX・投資・マネーまとめ速報
【財政金融政策】強制MMTで沈黙するカナリア 衰える市場機能